「予算プランニング+経営アナリティクス」Part.1 ~予算業務の一般的な課題~

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1. Excel予算業務の流れ

 予算というのは、部門別の詳細な情報を、各企業ごとの様々なプロセスにしたがって集計され最終的には損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書の形式へまとめられることがほとんどかと思います。エクセルを使ってPL・BS単位で集計を行っている企業様や、財務会計システムに付属している予算機能を使われている企業様が多いかと思います。予算管理業務に関しては、私どもが営業活動をさせていただいている中で、驚いてしまうのですが、実は結構な大手企業様でも、まだExcelのみで運用されていらっしゃるところが多いようです。中には工夫を凝らした末に、巨大なExcelファイルの化け物が出来上がってしまっていたり、スクラッチで独自のシステムを組み上げている企業様もおられるかとおもいます。ここではExcelで予算業務をおこなっている想定でお話させていただきます。

 会社組織図①

一般的な会社組織の、Excelによる予算業務の流れを表現しています。

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  情報システム部:業務システムから前期実績を抽出
  経営企画部  :予算登録画面の作成⇒各部に配付
  各部     :データを入力⇒経営企画部へ送付
  経営企画部  :データの収集・集計・各種レポートの作成

次の順で予算業務が進んでいきます。
情報システム部門で各業務システムから前年実績などを抽出し、経営企画部へ受け渡します。
経営企画部でCSVを手動やマクロの仕組み等でマージ作業を行い、予算登録画面を配布先の各部ごとに作成します。
関係各部にメールで送信します。
各部で予算を入力したら、経営企画部へメールで戻していきます。
返ってきた予算値を経営企画部で、時には督促などもしながら収集して
おかしな数値が入っていないかなどチェックをしながら集計と修正を行います。
そして経営層向けのレポートを作成します。

  会社組織図②

 予算策定の時期、経営企画部の方々は大忙しです。ただ、表面化しにくいですが、経営企画部だけではなく、予算を入力する各部もその配下の部員の方から情報を吸い上げるなどして、結構な労力が割かれていたりします。

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 ご覧いただいているようなシンプルな組織で、且つシンプルな予算編成プロセスのモデルにおいても多くの関係者が関わっており、予算策定だけでなくExcelの単純作業にも多くの時間が費やされてます。

 2. Excelに潜むリスク

 次にExcelプラニングに潜むリスクについてお話させていただきます。
大まかに言うとExcelプラニングには3つのリスクが潜んでおります。
おそい」「あぶない」「できない」です。

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「おそい」

単純作業への時間の浪費

入力画面の配付や収集のような単純作業に多くの時間が費やされます。
また関係者が多ければ多いほどファイルの受け渡しに時間が割かれます。
管理項目の変更の際などは、全関係先への配り直しが必要です。

都度必要なレポーティング

データ更新ごとに、時間をかけてレポート作成しなければなりません。

タイムリーに業績を見られない

必要な情報が必要なタイミングですぐに入手できず、適切な意思決定ができません。

「あぶない」

不正確・数式も壊れる

多くの人の手を介在することで、データが不正確、担当者が行や列を勝手に増やしてしまい、後続のVBA処理ができません。弊社がかかわったとあるお客様では、エクセルのSUMが崩れていたことから決算月直前に2,000万円の見込みのズレが発覚し事態収拾が大変だった。というエピソードもききました。単なるSUMの間違いのために、場合によっては大きな責任をとらざるを得ない事態にもなりかねない事例です。

 属人化・ブラックボックス化

Excelマクロが得意な担当者が退職や人事異動などによりいなくなると、当該システムがブラックボックス化してしまい、改修できなくなるなどの問題が発生します。

変更履歴が取れない

データの変更履歴がとれないことで誰がどのタイミングでデータを変更したかの把握ができない。また、ある時点のデータへ切戻しを行うことも非常に困難になりますし内部統制の面からもリスクを抱えた状態になります。

 セキュリティーの欠如

アクセス権限などのも柔軟な対応ができないため、管理上のリスクを常に保有することになります。

「できない」

バージョン管理

「当初予算」「修正予算」「積極案」「消極案」など様々なバージョンの予算想定の管理が求められますが、Excelでバージョン管理を行おうとした場合、複数のシートを管理することになり管理が容易ではありません。さらにバージョン間における意図せぬデータの不整合や、担当者内での2重管理など様々な問題が発生します。

予実対比

即時の予実対比

十分な着地見込み

十分な着地見込みがたてられないこと。

多角分析

組織ごと、顧客ごと、製品ごとなど多角的な視点で数値を見ようとしてもそれぞれ別々にデータやレポートが必要になるためレポート作成のために膨大な時間が必要となります。

自由なレポーティング

自由なレポーティングができないため、現場での意思決定ための資料として利用できない。

 3. Excelではできないこと

Excelで実現できないことをまとめてみました。
 ・リアルタイムな予算集計
 ・バージョン管理、シナリオ分析、シミュレーション
 ・スピーディーな予実対比分析(月次・週次レベルの見通し管理)
 ・組織別・製品別・顧客別のPLなどの多角分析
 ・配賦の最適化と配賦シミュレーション
 ・変更履歴の管理
 ・アドホック・レポーティング
などがあげられます。

 4. システム化で可能になること

以上のような課題に対して予算管理システムではこのようなことが実現できます。

自動計算・自動集計

複雑な多段階の計算処理・配賦処理
各部門で入力したデータは即時に集計可能。最新データを即座に確認

システム内ではあらかじめ組織階層を定義いたしますので、定義された階層にしたがって瞬時に数値が積み上げられます。
もちろん計算式や配賦処理なども埋め込むことができますので
Excel業務で必要な作業の大半はいっさい不要となります。

バージョン管理

複数の予算/計画案の作成および管理

予算プロセスにおける当初予算、修正予算などの複数バージョンの予算や、為替やマーケットの変動リスクを加味した複数シナリオの予算数値を同時に管理したりと、エクセルでは膨大なシート、膨大なブックに分かれてしまうようなものであっても予算システム内では全て一元管理されますので、最新のデータはどれだといった悩みもなくなりますし、様々な想定のもとの予算をいろいろなかたちでシミュレーションできたり、エクセルでは到底実現できないことが可能となります。

多次元管理によるセグメント分析

地域・製品・顧客・部門などの軸を多角的に分析していくことが可能。

さらに多次元形式でデータを保持できるシステムでは例えば簡単な例として全社PLを想像していただけると、全社でみていた数値を部門へドリルダウンすることはもちろん、組織を横並びで参照したり、組織と顧客を縦横で並べたりというように自由な分析軸をマウス操作のみで瞬時に切り替えたりが可能です。

直感的な操作感の入力・分析

多定型帳票出力、ダッシュボード、Excel分析など様々な手段でのデータ活用

先進的なシステムでは、ほとんどマウス操作のみでレポーティングや、ダッシュボード作成も行えます。

ワークフロー(承認)機能

予算の提出、予算編成の進捗把握、メール自動通知。

予算系システムの特徴的な機能というのもあり、代表的なものがワークフローの機能です。予算の申請・承認なども全てシステム内の機能行えます。また、他にも数値情報だけではなく文字情報を数値変更時や申請時のメモとして記録したり期初の予算だての際に通年の計画値を過去実績の割合で按分した数値を入力できたりと予算編成時における様々な便利機能が備わっていたりします。

 

予算編成システムを用いることで、部門やプロジェクト単位で、売上高、原価や販管費、利益などはもちろん財務会計の勘定科目だけではなく、KPIなどの非財務科目を自由にカスタマイズして実効性のある予算編成の基盤をつくることができます。また、経営環境の変化に応じて経営指標の見直しが入った際にも、専用システムならではの柔軟な改修が可能となるのも大きな特色です。

具体的には次の章でIBM Planning Analyticsを例にご紹介させていただきます。

 5. 予算管理システム×クラウド

 この章の最後に、予算システムとクラウド環境の親和性についてお話させていただきます。

 近年はすっかり定着した「クラウド」という言葉ですが、予算管理システムにおいてもクラウドのサービスが定着してきました。予算管理系のシステムはその特性上、クラウドサービスとの親和性が非常に高いと私共は考えています。日本では予算管理業務のためにシステム投資を積極的に行う企業は決して多くありません。実際私どもが予算系システムの提案を行っている中でも、かつては決して安価ではなかったため製品に対してはとても良い評価を受けたのにもかかわらず、なかなか導入のための予算が確保できなかったり、他システムへの投資が優先されて見送りとなってしまうケースが多々ありました。
 先ほども申しました通り、かなりの大企業様でもExcelで運用されているところが想像以上に多いのです。予算管理の重要性は各企業様とも十分に把握しているのですが企業としてのシステム投資の優先順位が低いというのが現状です。大きな理由の一つとしては、投資対効果(ROI)の算出が非常に困難だということです。会計や人事・給与等の基幹系のシステムはMission-critical system とも評されるように業務になくてはならないシステムであるためまず優先度は高くなりますが、なくても業務は回るという情報系のシステムはそうはいきません。ROI導入検討の段階で、経営層にROIを求められることが事業そのものを支える基幹システムとは異なり、予算管理システムを導入することの効果というのは、その効果を数値化することは非常に困難なのです。そのため企業としては高いコストをかけてでもシステムを導入することに、消極的になってしまいます。
 予算担当部門の業務負荷が下がったからといって社員数を減らせるわけではないので、などというご意見をよく頂戴します。その際は「システム化によって得られた余剰の時間を分析にですね・・・」のような営業とトークはするものの今までやってこなかった分析業務というところまでをなかなかイメージできず、そのような理由だけではもう一歩足りないと考えている企業が多くをしめます。つまり、予算管理システムには「低コストである」というのが重要なキーワードになってきます。

 「低コスト」であること

 その点、クラウドサービスというのは多くの場合、インターネットにつながる環境さえあればあとはユーザ単位で使用料を払うのみで、その他資産の購入・管理が不要となっています。オンプレミスで構築しようとした場合、サーバの購入費用や維持費などランニングコストが発生しますし、製品やサーバにアップデートの必要性が生じた場合、その都度SI費用が発生します。クラウドサービスであれば、初期にかかるライセンス費用、管理や運用にかかる人的コスト、メンテナンス費用など、多くの点でメリットを得ることができます。

 また、クラウドサービスだけに、インフラ周りの知識が不要ですのでシステムを管理するにあたりIT部門やSI業者に頼ることなく、担当者様のレベルで運用できるというのも大きな魅力の一つです。

 「インフラ不要」なこと
 「担当者だけ」で運用できる

 近年の予算管理業務のシステム化の傾向は、「スモールスタート」というのもキーワードとなってます。

 「スモールスタート」できる

 特定の組織だけ、や、特定の業務だけ、先行して導入という方法もトレンド化してきております。また、予算編成という業務の特性上、予算業務開始までに必ず導入しなければならないので「短期導入」というのもまた求められる要素です。先ほど挙げた「インフラが不要」というのは運用面においてもメリットになりますが導入期間も圧縮できるといった、二重メリットが享受(きょうじゅ)できるのも特徴です。

 「短期導入」できる

 以上の理由から予算管理システムにはクラウドサービスが非常に合っているといえます。

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 参照「予算プランニング+経営アナリティクス」

Part.1 予算業務の一般的な課題

Part.2 IBM Planning Analyticsのご紹介

Part.3 ジール導入事例の紹介

Part.4 SPSS+IPA の先進事例